小室哲哉 インタビュー

★日本のトランスシーンについて


難しくカテゴリーを分ける人たちが多すぎるな~って。
もうちょっとシンプルに、一番最初にユーロビートっていうの中の、まとまりの中の音っていうわかりやすいトランスでいいと思っていて…分ける必要性はなくて、かえってヨーロッパの人たちの方がトランスっていう言葉を大きな意味でとらえてくれてると思うので…

日本もせめてヒップホップとかいうくらいのわかりやすいくくりになってくれたらいいなって思ってますね…



★トランスというジャンルの捉え方


基本的にミニマル・ミュージックというのが基本で、…ミニマル・ミュージックっていうのはバッハとかの時代からの平均律とか練習曲があるじゃないですか、練習曲っていうのは繰り返し飽きないように練習させるというか…トランスというのは言葉ではトランス状態なんて言うように一つのものがどんどんボルテージが上がって行くというか、昇華していくという…

まぁ、本当は元のデータがあるとしても、それを楽器を増やしていくことであったりとか、上を足して行ったりとかしてって、上にはリヴァプーレーションしていったりとかして、そうやって確かに同じメロディなんだけど印象として最後にすごい広がっちゃってたみたいのが、どれだけ印象づけて終われるかっていうのが、そこまでもっていけるかってところだと思いますが…


★フルデジタル化によるスタジオワークの進化


大体…彼らの世代の人たちにしても、今*プリプロダクションがあってポスト・プロダクションがあって、そのポスト・プロダクションが大体50%以上。だと思うんですね。60~70%がポスト・プロダクションだと思うんですけど。まぁ、僕もそうで最初のプリプロダクションなんて、ホントもう10分15分くらいで、ほんと最後のポス・プロっていうかデスクトップ(DTM?)上っていうか、ラップトップ(?)上っていうか、その中での作業が圧倒的に今多くて、歌もデータにさせてもらった時点で、歌手の人にとってはちょっと失礼かもしれませんが、一つのデータとしてもらってるんで…その中で遠くに行ってもらったり、近くに来てもらったり、飛んでもらったりとか(笑)

…どういう風にでも今できるっていうか…

本当にオタクな作業にどんどんなりつつあるっていうか…


プリ・プロダクション…仮歌入れ等のレコーディングの下準備
ポスト・プロダクション…曲を完成させるまでの処理工程、音の加工もこの段階で行う。


★日本語詞・英語詞それぞれの有効性


やっぱり深いところでの伝えたい時っていうのは日本語っていうのがどうしても必要になってくるんですけど…日本語っていうのは同じ言葉をくり返していくと…どうしても飽きてきてしまうっていうか…また1番と同じの歌詞かってすぐわかっちゃうっていう…ところがあるんですけど、英語というのはかえってくり返していった方がだんだん入ってくるっていうか…言葉が。

ファーストコーラス目に聴いた時と2コーラス目に聴いた時とでもう変わってきていると思いますよね?なんか入り方とかが。

こういったポップスでダンス・ポップというものでのフレーズのリピートっていうのはすごく大事で、まぁ楽しんで一緒に歌えるっていうのもすごく大事なことだと思うんで、そういう時には英語っていうのがすごく有効ですよね。

なので違和感っていうか、遠さは感じると想いますけど、言葉は…僕的には両方いいところをなるべく使って行きたいなぁ~って思っていまして。


★曲作りにおけるインスピレーションの原点


基本的にはもう何百曲って作ってる中でもメロディから作るっていう曲っていうのは数えるほどしかなくて…やっぱりオケから全部作るんですね。

だからコードであったりとかでインスピレーションとかでちょっと弾いてみて、あとは音色で…この音色だとけっこうコード的にはこう響くな、とか。そういうふうに…本当にミュージシャン的な楽器遊びですよね…本当に。

っていうところでまず完全にフルコーラス、ほぼコーラスのオケを作っちゃうんですよ。で、歌のメロディを始めて作るんですけど…

多分メロディから作ってたら、多分何百曲も作れないですよね?

ドレミファソラシドっていうか…基本的にアレだけなんで…(苦笑い)

だいたい、海外行ってほとんどはやっぱりメロディっていうのは後から来ますね…だいたいは。

後で乗っけてみて気持ちいいものっていうか…オケに載っけてみてハマるものっていうのを考えていくと、インスパイヤーされているものっていうのはギターのカッティングとかだったり、敏腕…鍵盤のそのリフだったりとか…そういうものにインスパイヤーされて載っけいてくいうか…

聴いてこれに合うメロディはどれなのか?
みたいな。

これからのコンポーザーの人たちはもしそういう風にやってなかったら…絶対にやった方いいっていうか…やってかないと途中で挫折しちゃうというか…もう何年かしたら息切れしちゃうと思いますよ…(ちょっと悲しそうな顔)。


★今後のトランスシーンの展望


やっぱり洋楽ってあの…すごくわかりやすいトランス色の強いものがヒット曲というか…いやアルバムなのか、アーテイストなのかわからないんですが…出てくるというのが正直一番近道というか広がる近道だと思ってますけど…代表作というかトランスと称するものの代表作っていうのはもうワンランク、ツーランク上のところでねブレイクしてくれればもっと確実に広がってくれるというか…ちゃんと固定されてくんじゃないかな~っとは思ってはいるんですけどね。

やっぱりポップスに変えていくっていうか…変換させていくっていうのは一番の課題かなって思います。

特別な…マニアックなものっていうわけでもなくて、それを上手く活かしながらちゃんとポップスにするというか…僕が今やっていかなきゃいけないことだと思うんです。

音自体はやっぱり好きなもの、好きな音だから…好きな音でみんなが受け入れられれば一番いいので、それができたらいいな~って思ってますけど。