小室 哲哉 転調のコツ


自らの行う転調のやり方について、

「どこでキーが変わっているのか・どこがサビでどこがブリッジなのかをわからないようにする」
「声が張るピーク・一番伸びる部分をサビに持っていくため。サビに合わせるとほかのパートが低くなりすぎるため、仕方なく4度転調とか、そういう変な転調を無理やり入れる」
「周囲からは『サビでいきなり転調するよね』って言われがちだが、サビが先にあって、その前のBメロで転調しておく」

と話している。

コード進行では「add9(アド・ナインス)」を多用する傾向にある。
例としてglobeの「DEPARTURES」のイントロが挙げられる。

レコーディングにおいては、作業時のみソフトウェア・シンセサイザーを
「楽器として重要な要素であるフィジカルコントロールの面でハードに劣る」
「鍵盤の方が手っ取り早い」
「マウスが使いづらい」
「つまみがあって二度と出せない音を作り出せる機材に可能性を感じてしまう性分なので、マウスや数値だけでは限界がある」
「基本的にステップ入力はしない。1974の時その手法でイントロを作るだけでも大変苦労した」
として使用していない。
音自体はハードウェア・シンセサイザーで作った後、それを鍵盤で即興で弾き、それをPro Tools等でエディットしていく形を好んでいる。
新しくシンセサイザーを購入した時、マニュアルは読まずに予備知識なし・直感で操作する。
また、レコーディングスタジオを設立する際、特にトラックダウンからマスタリングにかけた作業段階で、音質について議論・実験を重ね、機材・設備・果ては土地の空気・気圧・温度・湿度・静電気に拘りを見せる。
また、短いサイクルでレコーディングスタジオを世界各地に移転する。
小室曰く
「ヒットが生まれる場所は年月が経つと全く違う」
「もしかしたらサーカスの様に明日移すかもしれない」
とコメントしている。

小室が作曲をする際には世界中の楽曲の音源から採取したフレーズ・リズム・メロディを音楽ジャンル別に分けて、更に「イントロ用」・「サビ用」・「アウトロ用」等に分けて記憶させた(その数は2万?3万という)シンクラヴィア(後にPro Toolsにシフト)を駆使して行う。
レコーディングの際にはいかに自らの曲のイメージにすり合わせながら「カードの様に」組み合わせ、「小室サウンド」としてサンプリング、アレンジして完成させるかがポイントになっている

常に楽曲は100曲のストックを持っている。
しかし、小室自身の感じるシンセサイザーサウンドの「賞味期限」は3か月であるため、その時になったら常に1からサウンドを練り直しているという